【完結】悪魔な御曹司に心も身体も溶かされました。
◎嫉妬と欲望



「だから俺、莉沙ちゃんを聖川から奪うことにした」

 あの時の、神宮寺社長の言葉がずっと頭から離れなくて……。あの時のあのキスも、きっと神宮寺社長から、光星さんへの宣戦布告なのかもしれないと思った。

 気持ちのこもっていないキスだった。だけど本当に虚しくて、苦しくて……。

 あの日わたしは、聞きたくなかった事実を聞いてしまったのだ。ふたりは親友だった。だけど同じ人を好きになって、一度は光星さんが神宮寺社長のために身を引いた。……なのに、光星さんがその人を抱いてしまったことを、神宮寺社長に打ち明けた。 それでふたりの仲は悪くなり、親友ではなくなったんだな……。

 悲しくて切なくて、何も言えなくなって……。涙をこらえることに必死になっていた。

 わたしは神宮寺社長に何を言われても、光星さんを信じたい。……なのに蘇って来る言葉は、神宮寺社長のあの言葉なのだ。 

「莉沙ちゃん、現実を見たら悲しくなるだけだよ? 君は、聖川とじゃ幸せになれない」
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