【完結】悪魔な御曹司に心も身体も溶かされました。
荷物をまとめて帰ろうとした、その時。
「待って、莉沙ちゃん」
と神宮寺社長に呼び止められた。 わたしは神宮寺社長の方に振り返った。
「はい?」
「今日の夜、時間ある?」
と、神宮寺社長から問いかけられた。
「……今日、ですか?」
「うん。良かったら、一緒に食事でもどう?」
と、にこやかな表情で問いかけられた。
「え……」
食事? 神宮寺社長と……?
「クライアントと食事に行くって言うのも、仕事のひとつ、でしょ?」
「あ……はい」
そう問いかけられたわたしは、そう答えるしかなかった。だって本当に、そうだから。
あくまでも神宮寺社長は、わたしにクライアントとしてそう聞いているのだろう。仕事としての食事なら、行かない訳にはいかない。クライアントと取引している以上は、断る訳にはいかない。
「じゃあ決まりだね? 今日の夜、19時にここに来て」
「え?」
神宮寺社長は、わたしに小さな紙切れを渡してきた。