風になびく君の髪






水瀬から声が聞こえない距離に行くと


榎本さんは俺をまた睨みつけ


「お前、遥香と仲良くなるってことはそれなりの覚悟は出来てんだろーな?」


妙な殺気を感じた俺は少しビビる


「ああああの、同級生なんで仲良くさせてもらってます」


こうして俺がビビってると


榎本さんは鬼の形相と言ったところ


しかし睨み付けながらもこう言った


「遥香をよろしく頼む」


「へ?」


な、なんで!?


いや、なんででもないけど


表情と言葉が矛盾してる!?


「は、はい」


「今日は買い出しに来てたまたま俺が一緒だったからいい機会だな
遥香からいつも話聞いてるぞ
あいつに友達が出来るなんて俺は感動してる!
ありがとー」


鬼の形相は変わらず俺の手を握って握手する


な、なんだ!?不気味だな!


「俺の顔怖いだろ?」


そう言う榎本さんは俺に顔を近づけて睨み付けてくる


「こ、怖いです」


俺は正直に言う


「あっはっはっはっは!そうだよな!
元々こんな顔で生まれてきちまったもんだから遥香には最初軽蔑されてたよ
この顔に慣れてくれーって言ったら段々喋ってくれるようになったけどな!
安心しろ?俺は悪さなんてひとつもしたことない」


見た目に反してめちゃくちゃいい人なのでは!?


「それはそうと遥香は傷つきやすいタイプだからなー
もし遥香を傷付けたらその時は」


榎本さんはまたあの鬼の形相で顔を近づけて


「ぶち殺す」


「ひぃぃーー!!!」


「あっはっはっはっ!冗談冗談!」


冗談でもこえーよ!


「さ、遥香のところ戻ろうぜ!」


榎本さんはまた俺の胸ぐらを掴み引っ張ってくる


その引っ張り方やめて!?




< 219 / 589 >

この作品をシェア

pagetop