風になびく君の髪





……………



こ、こんな所でなぜ俺は水瀬と2人きりになってるんだ!?


待て待て、心の準備が出来ていない!


整理しよう、水瀬の先輩の榎本さんと買い出しに行って?
それで水瀬が休みだからここに残って今2人きりになってる?


なんだそりゃあー!!!


心の準備が!


俺はしばらく緊張で話せずにいる



すると



「榎本さんはね、隣に住む人なんだけど
本当にいい人なんだよ」


水瀬が優しい声でそう言う



「そうなんだ」


「うん、私も最初は怖かったけど優しい」


まあ、悪い人じゃなかったのは確かだな


そういや水瀬がマックに行く時に毎回許可してた人って本当に親御さんだったのかな?


榎本さん登場でなんかそれは違う気がしてきたぞ?





「水瀬っていつもマックに行く時は榎本さんに許可もらってたの?」


俺は少し勇気を出して聞いてみる


水瀬は一瞬動揺したかのように目を見開く


「……うん」


水瀬は髪を耳にかけながら言った


その仕草に俺はドキッとする


ドキッとしたけど


なんで榎本さんなんだ……



俺は沈んだ気分になるが


「でもね、これも私がいけないの」


水瀬は声を力みさせながら言う


「私が…いじめられてたから……
引っ越した時にたまたま隣の家に住んでた榎本さんに話したら少し過敏になっちゃったからなんだよね」


……そうなんだ


水瀬がいじめられてて引っ越して


その後のことは全く知らなかったもんな


今こうやって話してるのも割と普通になってるけど


昔の水瀬はどんな人だったんだろう……




< 221 / 589 >

この作品をシェア

pagetop