風になびく君の髪
俺は結局捕まえた金魚は飼えないからと言って屋台のおっちゃんに返した
そんな気分でもないし
「光井君」
水瀬は俺の力の抜けた顔を見て心配そうに俺を呼ぶ
「ん?」
「ちょっと座って話そ?」
水瀬が近くのベンチを指差す
俺は言われるがままそのベンチに座る
「今日は暑いね」
水瀬が気を使うように明るく話しかけてくる
「うん、暑いね」
その明るさに合わせて俺も答える
でも、本当はこんなに明るくなれない
消そうと思っても消えないひまわりのあの表情が
そしてなんで北谷も一緒だったのか
そのもやもやが
頭の中も、心の中からも
消そうと思っても消えてくれない