風になびく君の髪





「……え?」


「光井君……ありがと」


驚く俺の表情なんか水瀬には見えないだろう


水瀬の腕の力は次第に強くなる


………


やばい、ドキドキが止まらない


「光井君がこうやって私を助けてくれたから
私は今、みんなと一緒に笑って過ごせるの
……だから、私が今度は光井君を助けたい
光井君の悲しそうな顔も笑顔にしてあげたい
そう思っててもいい?」


息が詰まるような水瀬の言葉が俺の胸に突き刺さる


「……うん」


俺はそれしか言えなかった


突然の事で言葉なんか見失うに決まってる


水瀬は俺から離れる



「……じゃあ、またね」


「……うん」




俺はひまわりを探した



……くそ


俺は結局、水瀬に何も言えなかった…



ひまわりを探してるのに


今度は水瀬が頭から離れない



俺の頭の中はもうごちゃごちゃになってる



俺が昔、水瀬を助けた時


抱きついて助けたから


水瀬もそうしてくれてたのか?


あの時の水瀬に何があったかはわからない


けど確実に俺の気持ちに整理はつかない


まだ俺の心臓はドキドキしている


どうしたらいいんだよ…!



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