風になびく君の髪






「光井君」


妙に落ち着いた声で水瀬は俺の名前を呼ぶ


「ん?」


俺が優しく聞くと



「光井君は……ひまわりさんのことどう思ってるの?」


「………」


どう?


どうって言われても……


………わかんねー


ひまわりが俺をどう思ってるかにもよるだろ


だって俺は幼なじみだと思ってたんだから


でもひまわりのやつ…急に変わったからな


「どうも思ってないよ」


俺は誤魔化すように水瀬に言った


「…そうなの?」


水瀬も意外そうな顔をしていた


「そりゃそうだろ、ひまわりは幼なじみだしな」


「……そっか」


水瀬は安心したかのようにそっと息を吐く




「お祭りの時はどうだったの?
そういえば聞いてなかったよね?」


水瀬が思い出したかのようにハッとする


「ああ、あの後家の近くの公園に行ったらひまわりが居てさ
色々誤魔化しながら水瀬とお祭り行ったこと謝ったんだ
でもひまわりも何とも思ってなかったと思うよ」


俺がそう言うと


「何とも思ってないことないと思うよ?」


「……え?」


「ひまわりさんは大人だから
表に出さないだけで、きっと光井君と初めからお祭りに行きたかったと思うよ?」


ひまわりが大人だって?


そんなわけない、あいつは何も考えてないだけだろ


でもそうは言わずに俺も答える


「まあ毎年行ってたからな
でも高校生になったんだから俺の心境だって変わるさ」


「どう変わったの?」


「あ……」




< 282 / 589 >

この作品をシェア

pagetop