風になびく君の髪




そうか


毎回忘れかけてるけど


水瀬はあの時は1人だったよな



「私ね、中学の時、いじめにあってたの」


「……え?」


水瀬は重い口を開く


いじめだって?


「だから入学してすぐに転校したの」


「……そういう事だったのか」


「うん、でもね、転校する前日に
私を助けてくれたのが、光井君なんだよ」


「………そっか」


水瀬の髪が濡れていたのも


あの悲しげな表情も


落ちてきた花瓶も


全部辻褄があった



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