風になびく君の髪
「びっくりだよね
ついでに言うと林間学校の時にひまわりとお風呂に入ったんだけど
本当にまともに見れなくて大変だったよ
他にも女の人に抱きつかれるとドキッとしちゃうんだ……」
湯山は段々と涙声になってくる
「ほんとに………嫌んなっちゃうよ…」
「…………」
泣いている湯山に俺はまだ何も言えない
可哀想とか気の毒とかそういう感情は無くて
俺も胸が痛いほど苦しくなっていた
こんな悩みを抱えながら湯山はいつも過ごしていたんだ
「他にもこの事知ってる人いるの?
ほら、手島とか」
俺が何気なく聞くと
「しずくには余計言えないよ!」
声を荒らげる湯山
「そ、そうなの?」
「……うん、あたし……しずくのことが好きなんだ」
「………え?」
今日、湯山からは本当にびっくりさせられることばかりだ
そういう事か……
もう湯山には逃げ場がないんだ
「しずくにも言えない……ひまわりにも、遥香にも言えない……」
湯山はしばらくずっと泣いていた
俺を恋愛対象に思わないとわかってても俺は湯山を女扱いしていて
抱き寄せる事もせず、ただ泣き止むのを待っていた
しばらくすると
「歌わないの?」
「歌えるか!」
いつものようなツッコミをする俺
「あはは…光井は変わらないな」
「どう反応したらいいかわかんねーしな」
「まあそうだね」
くすくすと笑う湯山に俺は少し安心する
「難しいよねー恋愛ってさ」
湯山は晴れた顔をしながら言う
「き、急になんだよ」
「いやー?光井は好きな人でもいるのかなって」
「…………」
俺は黙った
何も答えたくないからじゃなくて
何も答えられないから
「実際さ、どっちが好きなわけ?」
「………」ギクッ!!
湯山の一言は俺の心を激しく動揺させる