風になびく君の髪
手島が俺らの教室に来る
「す、すごい……」
ただの劇だけど奥村先生と湯山は本気だった
だからこそ物語で出てくる小物とかにも気を使っている
例えば遥馬と風香がよく行くファミレスにも背景を大きな画用紙に書いてダンボールに貼り付けたり
机と椅子なんかも奥村先生の手作りだ
「奥村先生寝てないらしいぞ」
「どんな体力してんのよ」
何となく手島も俺らの教室を見渡す
「あ、遥香ー!ちょっといいー?」
湯山が水瀬を呼んだ
水瀬は湯山の元に行き何やらセリフの指導が入った
「そういえば光井は演技大丈夫なの?」
手島が心配そうに俺に聞く
「おう、おかげさまで何とかなりそうだったよ」
「そう、よかったね」
手島とちゃんとした会話したの久しぶりだな
なんか今までそんな深く話したことなかったもんな
「手島の演技力すごかったもんなー
あれを参考にしたらなんか見えてきた気がする」
俺が手島を褒めると
「そ、そう?私自分で演技力あると思ってなかったよ」
「新たな才能だな!すげーよ」
「じゃあさ、この間雛が別で作ったセリフ演技してもいい?」
手島が恥ずかしそうに視線を下に向けていた
「おう!聞かせてくれ!」
俺がそう言うと
手島は深呼吸をして