風になびく君の髪
俺はもっと早く水瀬に告白されてたらどうしてたんだろ?
中学の時、俺が水瀬に告白してたらどうなってたんだろ?
多分だけどその当時でも
ひまわりが頭を過ぎると思う
ひまわりがどう思うか考えてたと思う
それは当たり前の事だ
俺は幼稚園の頃からひまわりが居ないと幸せになれないって思ってたから
「光井君が思ってるより私は普通の人だよ?」
水瀬がまだ止まらない涙を流して言う
「……どうして?」
「私と光井君は友達じゃないよ
光井君は私を大事にしてくれてたと思うけど
私のこと"お前"って呼んだことある?」
………
何も答えられない
そうだ、どういう訳か俺は水瀬をお前って言ったことがない
ひまわり、湯山、手島、北谷
ほとんどの人には馴れ馴れしくお前って言ったことあったけど
水瀬には言えなかった
それは多分嫌われないように汚い言葉を使わなかったからだ
「光井君はみんなの髪の毛を触ったことあるよね?
私触ってもらったことない」
「………それは…」
言われれば言われるほど全部が図星だ
俺は水瀬の事が好きだったわけじゃない
距離を置いていたのも俺の方だ
俺は水瀬のその綺麗な髪の毛を触ったことがなかった
……じゃあ今は…
「触ってくれる?」
水瀬は声が震わせながら言った
友達なら触れる
好きな人なら触れない
そういうわけじゃない
なんでだろう
水瀬は俺の憧れの人で
そんな距離感ではいられない
「………ごめん水瀬…」
俺は…どうしたら