風になびく君の髪





俺と湯山は猫カフェを出る


「猫カフェ…よかったな」


俺がそう言うと


「うん、よかったな」


俺と湯山が考えてる事は同じだと思う


あれはお金を出してでも行くべきだ


よかった


「そういや、光井」


湯山が俺を呼ぶ


「ん?」


「遥香となんかあった?」


湯山は少し遠くを見つめるように聞いてきた


俺は少し考える


今話すべきことでは無いかもしれない



水瀬も話して欲しくないかもしれない


そういう色んな葛藤もある中で俺が出した答えは


「何もないわけではないけど時間が解決する問題かもしれないから今はそっとしといて」


俺が言うと湯山は


「そっか、なんか大変な時期に悪いね
劇の主役なんか頼んで」


「いいんだ、俺が今まで何もアクションを起こさなかった分の償いだと思って全部やり通すまでだからな」


「ほー?大人になったな光井
ひまわり効果か?」


色々勘ぐってる様子の湯山


こいつには相変わらず敵わないな


「なんか聞いてるか?ひまわりから」


俺が湯山に聞くと


「なーんも聞いてないけど
あんたら2人とも幸せオーラが丸わかりなんだよ」


「うっ……」


やっぱりこいつ気づいてたのか?


「悪いな、隠したいわけじゃないけど
湯山に言ったら劇で俺らに気使って内容ほとんど変えそうだったからさ」


俺がそう言うと


「んまあ確実に変えてたと思うよ?
けど、あんたら2人がそう言ってくれるとあたしも助かるわ
ありがとね」


なんかつくづく湯山の言動が大人に見えてきたな


ありがとう、悪いね、この2つの言葉をちゃんと言える湯山はやっぱり大人だ


俺も見習わないと





< 539 / 589 >

この作品をシェア

pagetop