風になびく君の髪







俺は抱きしめた腕を離して


ここでキスをするフリをする


明らかに触れないけど、お客さんには見えないように口は隠れるようにする


水瀬はグッと体を抱き寄せてきて


腕を俺の首の方に回し







【チュッ】




唇を重ねてきた



「………!?」


驚きすぎて何も声が出ない


水瀬は本当にキスをしてきた


鼓動が高鳴る…


柔らかい唇を感じる


この時間が長く感じる


会場は少し悲鳴にも似た声が聞こえる


多分本当にキスをしたから驚きと興奮があったんだろう


俺がその口を離すと


自然とひまわりの方に目を向ける


目を大きく見開いて唖然としているひまわり


ち、違う


俺は何もしていない……


誰も止めることのできないこの状況で頭が真っ白になる


水瀬……




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