風になびく君の髪
〜遥香side〜
「………ごめん、水瀬……
俺…ひまわりのことが……」
光井君は溜め込んでいたものを吐き出すように言った
わかっていた
わかりきっていたんだよ
林間学校の時に光井君が真っ先にひまわりさんを追いかけたのも
夏祭りの日にひまわりさんのところに行ったのも
クリスマスの日にひまわりさんと一緒に公園にいたのも
全部わかってた
中学の時に光井君に助けてもらった
その時から光井君の心のどこかにひまわりさんは居たんだと思う
私が光井君を好きになっても
届くことはないんだと
わかりきっていても止められなくて
私じゃないって伝わったとしても諦めきれなくて
どうしようもなく逃げ出したい
「俺……中学の頃、水瀬と初めて会った時
……俺は水瀬のこと一目惚れしたんだよ」
「………え?」
なんで……
なんで今更そんなこと言うの?
その後の言葉は全然聞いていなかった
「今でも大事な友達だと思ってるんだよ
だから水瀬も俺とひまわりをどうか見捨てないで欲しいんだ」
無理だよ……
私が光井君に会えなかった期間どれだけ好きだったかわかる?
何もわかってくれない……
ひまわりさんのことばっかり
そんな話聞きたいわけじゃないの
私はもうこれ以上話を聞きたくなかったから
「………うん」
適当に返事をした
これ以上話すとまた泣きそうになるから
そう言うしかなかった