風になびく君の髪
私は劇が終わって体育館を出る
雛さんに何か言われた気がしたけど何も聞こえなかった
もう誰にも会えないかもしれない
会いたくない……
また私は1人になるだけだから
「まて、水瀬」
1人になろうとした私を止めたのは
「どこに行く」
「………先生?」
奥村先生だった
「……すいません、私1人になりたいんです」
私は奥村先生にも冷たくあしらった
でも
奥村先生は
「光井にキスをしたな?」
お構い無しに聞いてきた
「………」
何も言えない
ましてや先生になんて余計に言えない
「すごくいい演技だった、私も思わず涙が止まらなかったよ」
奥村先生は涙を滝のように流していた
「ほ、本当に止まらないですね」
「ああ、もしこのまま正式に評価が付けば最優秀賞も狙えると思うが
今回の件に関してはルール違反だ」
「……違反?」
「そう、生徒同士のわいせつ行為を公にしてはいけないと教師側からきつく言われている
劇でのキスはわいせつな行為に値するため違反になってしまう」
「……そうなんですね、すみませんでした」
そんなこともあるんだ
何もかも迷惑かけてしまって申し訳ないな…