風になびく君の髪






ひまわりさんは私に近づいてくる


そして右手を高く上げる


1回ひまわりさんは光井君をビンタしたんだっけ……



もういい、私のこともぶってほしい


それで気が済んで許してくれるなら



【ポンッ】


ひまわりさんは私の頭に手を置いた


「ありがとー遥香ちゃんの口からそれが聞けてよかった!」


ひまわりさんは笑っていた


……なんで、それだけ?


私、ひまわりさんの好きな人とキスしたのに


「ふーまは遥香ちゃんのこと振ったんだ」


「……うん」


「……それだけ聞けたらいいよ」


ひまわりさんはまだ笑顔になっている


「……ひまわりさん、怒らないの?」


「ん?」


ひまわりさんはまたパーッと笑顔になって


「怒るに決まってるよね?」ニコニコッ


笑いながら怒っていた


ひまわりさんはいつもニコニコしてるけど


笑いながら怒る人だったんだ……




「ご、ごめんなさい!」


「ううん、でも本当にいいの」


ひまわりさんはそう言って本当に笑ってる気がした


…………


「……なんで?」


私が聞くとひまわりさんは


「気にしてないなんて事はありえないんだけどね
遥香ちゃんはふーまが初めて人と関わりたいって思えた人だからだよ
このまま遥香ちゃんに会わなかったらもしかしたら私と家族と髪の毛以外に興味がないつまらない人になってたと思う
まあ髪に関心のあるふーまには"憧れる"けどね!
だから私は遥香ちゃんにも感謝してるよ
ありがとー!」


ひまわりさんは本当に笑顔になっていた


"憧れ"か

私はこんな心の広いひまわりさんに負けじと光井君と向き合ってこれたのかな?





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