最低で最高のホワイトデーを
私が俯き続けていると、ふわりと私の手が涼ちゃんの大きな手に包まれる。

「このまま帰るのもったいないし、俺でよかったらデート、付き合うよ」

涼ちゃんの優しさに心が温かくなる。涙は消えて私の顔に笑顔が戻った。

「ありがとう!」

勝理くんと見る予定だった映画は、涼ちゃんと楽しんだ。見たのは勝理くんと前から「見たいね!」って話していたラブストーリー。涼ちゃん、こういうの嫌かなって心配だったけど、二人して最後に感動で泣いちゃったんだ。

勝理くんにデートをキャンセルされたことは、もうすっかり忘れてしまうほど楽しい夜になった。



涼ちゃんと映画を見てから一週間後、私は絶望に心を満たされた状態でベッドの中で丸くなっていた。

涼ちゃんと映画を見る少し前からPMS(月経前のイライラ、お腹の張り、過食など)があったからそろそろ来るとは覚悟していたけど、やっぱり辛い……!

初日からひどい吐き気と腹痛で動けない。今日が休日なのが幸いだ。大学を休んでばかりだと単位や成績が心配になるしね……。
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