帝王と私

恋人

仕事終わりの慌ただしい時間。
今日は金曜日なのもあり、みんなどこか楽しそうだ。

｢じゃあ、弥生。
お疲れ～｣
｢うん、栞奈。
お疲れ様。今日デート？｣
｢わかる？｣
｢フフ…わかるよ…！
いいなぁ……｣
｢弥生も、少し位ワガママ言いなよ！明日は誕生日でしょ？｣
｢ううん。忙しい人だし、困らせたくないから……｣
｢そうゆうもんかな？
私は違うと思うな……｣
｢いいの。私は彼と付き合えてるだけで、幸せだから｣
｢健気だね～。
可愛い……！！｣
｢もう////早く行かないと彼を待たせるよ！｣
｢あっ、ほんとだ！
じゃあね！帝王に会えたらいいね！｣
｢フフ…ありがと！｣

友人の下田 栞奈(しもだ かんな)が足早に職場を、出ていった。
｢はぁー。
ワガママを言えるなら、とっくに言ってるよ……｣

でもワガママ言って、嫌われたら……。
そのことばかり、頭に浮かぶのだ。
私は、彼のこと好きすぎるから。


スマホの着信音がなる。
｢え？｣
もしかして？
画面に彼の名前━━━━━

【渚左 貴将】

直ぐ様出る。
｢はい、貴将さん？｣
『会いたい』
｢うん。私も……｣
この一言だけで、心も身体も高ぶり、震える。

急いで、職場を出た。

外に出ると、彼がいた。
｢おいで？弥生｣
吸い寄せられるように、彼の胸に抱きついた。
｢会いたかった…弥生｣
｢うん｣
｢ごめんね…なかなか連絡できなくて……｣
｢うん｣
｢顔見せて？｣
｢うん｣