帝王と私
「ダーメ。顔見せて?」
「や…恥ずかしい……」
「キス…させて?キスしたい……」
そう言われると、手をどけざるおえない。
ゆっくり手を取ると、彼のなんとも言えない綺麗な熱い眼差しがあった。

「ンン……」
その後は、もうお互い欲望のまま求めあった。
私は自分でもびっくりしている。
あんなに怖くて震えていたのに、身体がもっともっとって彼を欲しがり、夢中でしがみついていた。

自分のモノと思えない、甘い声が溢れでてくる。
「あぁ……んぁ…あ…だめ……き、しょうさ…」
「弥生……可愛い…好きだよ…好きだ……」
「あぁぁ…も……だめぇ…」

もう元に戻れない程に、彼に落ちた。


果てた後、彼の腕枕で横になって、彼に抱き締められている。
「………」
「………」
「き、しょ…さ…」
「ん?」
「喉…渇いちゃ、って…、ちょっと…離し、て…」
「うん」
彼の腕が解かれた。
起き上がると、
「あれ…?」
「弥生?」
身体に、力が入らない………
「力……入らな……」

「待って!動かないで?俺が取ってくるから…」
「あ…ごめんなさい……」
彼が一度冷蔵庫に行き、ペットボトルを持ってすぐ戻ってきた。
「ありがとう…」
すると、彼が水を飲み出す。
「え…?」
そして水を口の中に含んだまま、フワッと微笑み
「ンン━━━━!」
私の口の中に水が流し込まれた。

「フフ…美味しい?」
「……うん」
恥ずかしい…………

ペットボトルをサイドテーブルに置いた彼が、ベット脇に座る。
彼の背中に、大きな虎がいた。
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