帝王と私
「ちょっ…離してください!」
二人とも手を掴まれ、引っ張られた。
「怒った顔も、可愛いね~」
「ちょっと、やめてよ!」
栞奈が必死に手を離そうともがき、男を突き飛ばした。
「……ってぇな!」
「いいのかよ!俺等、怖ーいお兄さん達と友達なんだよね……君達にも紹介しようか?」
「え…」
助けて、貴将さん……!
「行こうぜ!お姉ーさん?」
更にグッと手を引かれ栞奈と二人、男達の車に押し込まれた。
「嫌!」
車の中でも、手を押さえつけられていて動けない。

嫌だ、怖い!
逃げなきゃ!どうすれば!
貴将さんに電話を。
でも、手を押さえつけられていてできない。
色んな思いが、頭の中をぐるぐる回る。
そして廃工場のような所に連れていかれた。

車から引っ張り出され、中に入る。
そして中には、さっきの男達よりもはるかに恐ろしい男達が、いた。

「お前等どうしたんだよ!この女の子達」
「いや、ナンパしたんですが、生意気だし可愛いから、どうせなら兄貴達と楽しもうかなって!」
「へぇー、確かに上物だな!」
そう言って、髪の毛を触られた。
そしてそのまま髪の毛を掴み、自身の鼻に持っていく男。
「いい匂い……。
━━━━え?
お前……それ…!」
「え?」
さっきまでの余裕な態度とは、うって変わり急に怯え出す、男。

「おい!なんでこの女連れてきたんだよ!?
ヤバいぞ!!」
「は?」
私と栞奈は意味がわからない。
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