帝王と私
広い部屋。
彼の匂いがする。
「やっぱ来なきゃよかったかも?」
逆に寂しくなる。
こんな広い部屋で、彼の匂いに包まれて………。

ソファーに彼のカッターシャツを見つける。
おもむろにとって、匂いを嗅いだ。
「会いたいよぉ…」
今日帰ってくるかわからないが、待ってみようと思い、服を脱いで下着姿に彼のカッターシャツを着た。
そして彼の匂いがする、ベットに横になった。

手首の薄くなったキスマークを、撫でる。
いつの間にか、眠ってしまっていた。


ブーッブーッブーッ━━━━
弥生のスマホが、テーブルの上で震える。
弥生は眠っていて、気づかない。
画面には【渚左 貴将】の文字。

その一時間後━━━━━━
ガチャ………
貴将が帰ってきた。
「いる訳ねぇか……」
ホテル従業員に、今日弥生が来たと聞いた。
急いで部屋に上がったが、見たところいないようだ。
もうすぐ日付が変わろうとしてる。
「さすがに帰るよな……」
一人でここにはいたくないって言ってたし……。

ふと気づく。
ソファーに女性物の服が掛かっている。
テーブルの上には、弥生のバックとカードキーがあった。
「え━━?」
まさか………
ベットの方に向かうと、
「弥生……」
貴将の全てを狂わせる程の、愛しい弥生が眠っていた。
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