帝王と私

｢一輝さん、今日の外回り付き合ってくんない？｣
｢あ、はい｣
私が勤めている会社は、営業の際二人一組で行う。
この社員･村井 和生(むらい かずお)さんは、いつも一緒に行ってる人が休みでいない為、私に誘ってきたようだった。

｢村井さん、お待たせしました｣
｢うん、ごめんね、急に…。
山野さんが急遽休みでさ｣
｢いえ｣

｢━━━━では、この契約内容でよろしくお願いします。失礼しました｣
｢取れましたね！契約｣
｢うん、一輝さんのおかげ！ありがとう｣
｢え？そんなこと……村井さんが上手だからだと思いますよ？｣
ニコッと微笑み、言うと、
｢////それ、ダメだろ…｣
｢はい？｣
顔が赤い…？

｢ふぅー。
一輝さんって彼氏いるんだよね？｣
｢え？いますよ｣
｢だよね？会社前に迎え来てるの見たことあるから｣
｢あー、そうですよね｣
だよね……相手は帝王だしね……
｢お昼…食べて会社戻ろ？｣
｢はい｣

｢━━━どれにする？一輝さん｣
ヤバい…かなりお腹空いてて、この大盛カツ丼食べたい。
でもな、さすがに恥ずかしいしな……
｢一輝さん？｣
｢え？あ、じゃあカツ丼で｣
｢OK｣
どっちにしても、カツ丼は食べたい。

料理がきて、私はペロッと食べてしまった。
｢早いね？食べるの…｣
｢え？あ、はい。すみません｣
｢怒ってないよ。ちょっとびっくりしただけ！身体凄く小さいのになぁって！｣
｢ハハッ…食べること、好きなので｣
｢そうなんだ｣