帝王と私
「奢るよ!」
「は?ダメです!それだけはやめて下さい!」
「………」
「え?あの…」
「あ、いや。
山野さんはそうは言わないから…」
「え?いつも奢ってるんですか?山野さんに」
「いつもじゃないけど、一輝さんや山野さんと俺とでは倍は給料違うでしょ?」
「まぁ、村井さんはリーダーですもんね。
でも、だからってやっぱりダメですよ!」
「そうだね」

そして会社に戻る。
「ねぇ」
「え?」
「髪の毛に花びらついてるよ?」
そう言って、取ってくれた。
「ほら?」
「あ…ありがとうございます」
村井さんを見上げると、一瞬……貴将さんと重なった。
「その顔……彼氏以外に見せない方がいいよ?」
「え?」
「俺なら、今すぐ抱き締めして、キスしたくなるから…」
そう言って、会社に入っていった。

「え…?」
それって、どうゆう………

その日、貴将さんから連絡があり会えることになった。

「弥生…お待たせ!おいで?」
会社前で待っていると、車が静かに止まり彼が出てきた。
「うん!」
彼に抱きついた。
「貴将さんの匂い……安心する」
「早く、行こう」
車に乗り込んだ。
彼と手を繋ぎ、その手にキスをされる。
「また、キスマークつけなきゃね…消えかけてる」
「うん…」
「今、つけていい?」
「もちろん……」
「じゃあ遠慮なく……」
「ん……。
ンン…っつ!痛い…!」

彼はキスではなく、私の手に噛みついた。
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