帝王と私
「だったら聞くけど!
弥生はできる?
相手の目を潰したり、少しずつ相手の骨を折ってなぶり殺ししたりするんだよ?
殺すって刃物で刺すとかだけじゃないよ」
「え……」
「できないよね?そんな残酷なこと」
「それは……」
「できなくていいんだよ?それが普通だから…」
「でも、貴将さんと会えないなんて……。
もう触れることも、キスすることも、愛し合うことも、手首のキスマークも………全部できなくなるってことでしょ?」
「そうだね…」

私は頭を振る。
「そんなこと………できない!!」
私は冷蔵庫に駆け出した。
「弥生?」
そして簡易ナイフを持ち、彼の元へ。

「目……潰したら、一生…一緒にいてくれる?」
「え………」
「私の覚悟……なめないで!!」

私はふぅーっと深呼吸して……
右目に向かってナイフを突き立てた。

「弥生!?やめろ!!!」


━━━━━━!!!!
「……っつ…」
間一髪で彼が私の手を掴み、ナイフは私の目の横を掠め、こめかみの辺りを切りつけた。

「はぁはぁ……
なんで……。
なんでこんなこと、するんだ……」
「貴将さんが……私から放れようとするから…」

「なんで………
こんなに好きなんだ…俺は…」
「好きすぎて、いっそのこと嫌いになれたらいいのにね……?」

「あぁ、そうだな……」
「でも、無理だよ?
今更………」
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