帝王と私
また彼に口唇を奪われ、その口唇が額、瞼、頬に移動して、首筋にきた。
「え?あ、あの……貴将さん…?」
「んー。何?」
「まさかこのまま……」
「うん、弥生と愛し合いたい……」
彼の手がブラウスのボタンにかかり、上からひとつひとつ外していく。

「あ、あの……」
少し身体が震えた。
「怖い…?」
「少し…」
「嫌?」
手と口唇が離れ、顔を覗かれた。

頭を振る。
「じゃあ…いい?」
「あの私…あまりいい思い出がなくて……。
だから、怖くて…」
「そっか…じゃあ…やめようね」
「え?いいの?」
「なんか勘違いしてるみたいだけど、俺は弥生と愛し合いたいけど、怖がってる弥生の気持ちを無視することはしないよ!」
そう言って私を起こし、ブラウスのボタンをつけなおしてくれた。

「でも…今日は一緒にいてね?」
「……あの」
「ん?何?」
「ごめんなさい…」
「なんで、謝るの?」
「拒んだから……」
「弥生が謝ることじゃないでしょ?
いいんだよ?思ってること、はっきり言ってくれて。
俺は弥生が恋人になってくれたことが、嬉しいんだから。愛し合うのは、いつでもできるでしょ?」
「私も…嬉しい……夢みたいで……」

「ねぇ、キスはしていいよね?」
「うん…。
ンン……」
「弥生の口唇、甘い。病みつきになりそう……」
「ンンン……んぁ…」

何度も深いキスをした。
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