幼なじみの溺愛が、私を離してくれません

頭を鈍器で殴られたような鈍い痛みを感じた。


『たしかに雫のことは好きだけど、それは幼なじみとしてっていうか…。可愛くて可愛くてほっとけないんだよね』


(…そっか。そう、だよね…。結弦にとって、私はただの幼なじみでしかなくて…)


悲しかったはずなのに、涙は出なかった。


それどころか、思わせぶりな態度をする結弦に嫌気がさしてきて。


嫌いになれたらよかったのに。


そんなことはできるはずもなく、そのままズルズルとここまで来てしまった。


だから、これからは少しでもいいから。

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