靴下の中に君
「クリスマスにひとりでブツブツ言いながらお金出して、なんか寂しい人ね」
「本当だな!」
コソコソッと聞こえた。
私は振り返り、後ろから2人に蹴りを入れて…
やろうかと思った。
必死で抑えた。
…余計みじめになるのはわかっていた。
…それに、形はどうあれ、今日は私だってひとりじゃないんだから!!
ーープップー
ーーパー
ーーブー
銀行から出ると、やたらクラクションで騒がしかった。
そして、人もたくさん集まっていた。
事故でもあったんだろうか…
人山から交差点を覗くと、車の流れが止まってる車線があっ………
「みっ…みのる!?」
赤信号の横断歩道の真ん中に、みのるが突っ立っている。
…何やってんのあいつ!?
「あっ…とっともちゃああ~ん!!」
みのるは私に気づき、手を振って私を呼んだ。
人々の視線が一気にこっちに向かってきた。