隣の部屋の新人くん
お腹いっぱい夜ご飯を食べて、もう帰るのが名残り惜しい気持ちで公園を歩く。

夜風が気持ちよく私たちを過ぎる。

「あれ乗ります?」

あれ、と坂口くんが見上げたのは、観覧車だった。

私は意外と乗ったことがなかった。

「うん、あれ乗って帰ろ」

私はそう頷いた。

土曜の夜ということもあって、恋人たちですごい行列になっていた。

何食わぬ顔して私たちも手を繋いでいるけど、側から見たら恋人同士に見えるのかな。

周りから、歳の差って笑われないだろうか。

ふと客観視してしまう。

少し列が進む。
ゆっくりと歩を進める。

「やっぱり混んでるんですね」
「そうだね」

なんてことない会話を繰り返す。

「佳弥と乗ったことなかったんですか」
「ないなー」

ぼんやりと記憶を辿る。

「元カノとどんなデートしてたの」
「普通ですよ。普通に服買ったり、飯食ったり」

少し照れる坂口くん。

かわいい彼女がいたんだろうなあ。
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