隣の部屋の新人くん
21時半。

私たちは電車を乗り継いで最寄駅に着く。

今日、初めてのデートみたいにずっと胸が高鳴っていた。
坂口くんもそうだったらいい、と半歩先を歩く後ろ姿を見る。

あのてっぺんで、後ろのゴンドラに見られてたとしても、キスすれば良かった。

私は早速後悔していた。

心の声が漏れてたのか、「ん?」って顔をして坂口くんが振り返る。

「ううん」

私は首を横に振る。
坂口くんが少し笑う。

なんで、私を好きになってくれたんだろう。
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