隣の部屋の新人くん
いつもの海外ドラマの、エピソード7をつける。
いつも通り、隣に坂口くんが座る。

「付き合ってください、俺と」

ドラマが始まったのに、全然食い下がらない。

「社内恋愛は嫌だな」

私はドラマから目を離さずに答える。

「じゃあ、この今の関係がゼロになるってこともあるんですか」

なんでそういうこと言うんだろう。

私は隣の坂口くんの目を見る。

「もし、万が一ですけど、何かあったら、この関係なくなりますか」
「どういう意味?」

坂口くんが黙る。

「何かあるの?」

数秒間の間が空く。

「ないです、ないですけど」

語尾が濁る。

ないですけど、何なんだろう。

坂口くんはそれ以上何も言ってこなかった。
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