隣の部屋の新人くん
「あ」

私も気付く。

全然違ってて何とも思わなかった。

この人・・・

一瞬固まる脳内をブンブン振ってほぐす。
とにかく社内挨拶回りだ。

「では早速これから社内を回りますので、一言で大丈夫なので、簡単な挨拶を各部署でお願いします」

私なりに笑顔を作る。
ちょっと彼らの表情がこわばる。

いちいちそわそわして可愛い。

打合せ室を出て、廊下を遮って業務室に入る。
順々に新人の挨拶が始まる。

「戸塚結です、よろしくお願いします」

一人一人簡単な自己紹介をしていく。
そしてすぐに彼に順番が回ってきた。

「坂口諒です、よろしくお願いします」

彼は気持ち良くサクッとお辞儀をした。

そう、三月に引っ越してきた隣の部屋の彼が、東京銘菓の彼が、スーツ姿でそこに立っていた。

ここから、私と彼の短くてあっという間な物語が始まる。
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