サッカー部のイケメン二人の間で揺れて
帰りのバスの中では皆が浮かれていた。
勝利に興奮し、全国大会も優勝だ!なんて、皆大騒ぎだ。
ただ俺一人が頬杖をついて車窓の流れる景色をぼーっと見ていた。
「恭介、今日はお疲れ。よく残り15分耐えたな。お前はもう大丈夫だ。次のキャプテンはお前に託す」
優斗先輩が俺の肩を叩きながら労ってくれた。
「キャプテンですか。俺、できるかな」
「もっと自信持てよ。お前、俺に勝っただろ」
「はい? 優斗先輩の何に勝ったんですか、俺」
少し不貞腐れ気味に優斗先輩に突っかかった。
「あれー、お前、詩織に会ってないの?」
「いつの話をしてるんっすか?」
「救護室から出てったろ。詩織、お前を追いかけてったぞ」
「会ってないっすよ。なんで詩、いや君島先輩が俺を追いかけるんですか? 意味分かんねー」
「お前たちって、なんなんだ? 詩織もだけど、恭介も、もっと素直になれよ。バカ!」
そう言って優斗先輩は俺の頭を小突いた。
「ちょっ、バカって何っすか!」
「そんなの自分で考えろー」
優斗先輩が何言ってるのか、意味が分からん。
幸せバカなのは優斗先輩だろ! なんかムカつくわー