サッカー部のイケメン二人の間で揺れて
「いつ大阪に行くの? もう色々と決まってるの?」
「卒業したらすぐ大阪へ引っ越すよ。2月中には入団発表があるから、ちゃんとテレビ観とけよな」
「うわー、凄い!! テレビに出ちゃうんだー、楽しみだね」
優斗くんはもう先のことしか見ていない。
それなのに私は、なんなの?
こんな所で立ち止まっている場合じゃないよね。
「詩織、やっぱりさ・・・・俺」
「うん? なに?」
優斗くんが何かを言い難そうにしている。
私は優斗くんの次の言葉を待った。
「いや、いいんだ。なんでもない」
優斗くんが言葉を飲み込んだのが分かる。
どうして、そんなに哀しい目をするの?
希望しか待っていないはずの優斗くんなのに。
「私にできることがあったら何でも言ってね」
「詩織に頼みごとするようになったら、俺も終わりだな」
優斗くんはそう茶化して、空気を軽くした。
「そろそろ行くか? もう次の授業始まるぞ」
「うん、行く。優斗くん、ありがとう」