サッカー部のイケメン二人の間で揺れて
やっと一時間経ち、休み時間になった。
俺は立ち上がると、お友達の那美ちゃんにブランケットを返した。
もちろん、埃をはたく素振りをするのは忘れてないぜ。
と、廊下の先から詩織が歩いてきた。
「えっ?」
詩織が俺に気付く。
俺は自分の目を疑った。
詩織の隣にいるのは、優斗先輩。
「しお・・・り?」
優斗先輩に今の今まで感謝してたのに。
なんで? 詩織と一緒に歩いてくる?
俺の感情が壊れた。
「なんで、優斗先輩が一緒にいんだよ」
俺は優斗先輩に向かって叫んでいた。
「あの、恭介。これはね、その・・・」
「詩織、ちょっと黙ってて。俺は優斗先輩に聞いてる」
優斗先輩は俺から目を逸らすことをしなかった。
明らかに俺を挑発している目だ。
俺は優斗先輩に掴みかかろうとしていた。
けど、すんでのところで佳希に助けられた。
俺たちは自分のクラスに戻り、佳希に怒られた。
「恭介、冷静になれよ。何があったか知らないけど、今騒ぎを起こしたらどうなるかくらい分かってるだろ」
「ああ、悪かったな、佳希。止めてくれてサンキュ」
次の授業は机に突っ伏して大人しく過ごした。
もう何も考えたくなかった。