サッカー部のイケメン二人の間で揺れて

◎ 那美の悟り -詩織-


那美を拉致して、私たちは自習室にやってきた。

どうして授業中にもかかわらずここにいるのか分からなかったけど、自習室には数人の生徒がいた。

そこに二人で紛れ込んで、一番奥の席に座った。

「那美、ごめん。授業サボっちゃったね」

「うん、いいけど。あんたたち、また何かあったんだね」

私は那美にどこから話そうか考えていると、

那美が話してきた。

「お昼休みにさ、恭介くんが詩織を探しに来てね。その時はすっごく嬉しそうだったのよ。詩織に会うのをワクワクして待ってるって感じで」

「そうだったんだ。恭介と喧嘩しちゃって。逃げだしちゃったから。あれ? でも恭介ワクワクしてた?」

「恭介くん、凄く嬉しそうな顔してたけど」

「午後の授業が始まっても詩織が帰ってこないからさ。恭介くん廊下に座りこんじゃって。先生に帰れって言われても絶対にそこを動かなかったよ」

「でも、恭介だって悪いんだもん」

「そしたら休み時間になって詩織と優斗が一緒に歩いて来るじゃない。それを見たら恭介くんだって普通じゃいられないんじゃないの?」

「恭介・・・」
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