サッカー部のイケメン二人の間で揺れて
◎ 入団会見 -詩織-
今日は優斗くんの入団会見の日。
恭介たちサッカー部員は学校の一室でJリーグのネット配信を観ることになっているから、私は那美と教室でスマホを一緒に観ている。
優斗くんの入団したチームには5人の新人が加入して。
順番に挨拶をしていく。
優斗くん、緊張してるのかな? いつもの優しい顔じゃなくて、厳しい顔になっているような気がする。
髪型も変わっていて、そこには私の知らない優斗くんが映っていた。
「この中ではやっぱり優斗が一番イケメンだね。詩織、そう思わない?」
那美はいつも優斗派だったよね。
二人だけの約束とかもしているみたいだし、優斗くんとは仲が良かったんじゃない。
その時、ふと思い出した哀しい目をした優斗くんの顔。
保健室で私をなぐさめてくれた時の、あの顔を。
心臓がズキンと重くなった。
どうして今になって、あの時の優斗くんを思い出すの?