サッカー部のイケメン二人の間で揺れて

◎ 入団会見 -詩織-


今日は優斗くんの入団会見の日。

恭介たちサッカー部員は学校の一室でJリーグのネット配信を観ることになっているから、私は那美と教室でスマホを一緒に観ている。

優斗くんの入団したチームには5人の新人が加入して。

順番に挨拶をしていく。

優斗くん、緊張してるのかな? いつもの優しい顔じゃなくて、厳しい顔になっているような気がする。

髪型も変わっていて、そこには私の知らない優斗くんが映っていた。

「この中ではやっぱり優斗が一番イケメンだね。詩織、そう思わない?」

那美はいつも優斗派だったよね。

二人だけの約束とかもしているみたいだし、優斗くんとは仲が良かったんじゃない。

その時、ふと思い出した哀しい目をした優斗くんの顔。

保健室で私をなぐさめてくれた時の、あの顔を。

心臓がズキンと重くなった。

どうして今になって、あの時の優斗くんを思い出すの?
< 225 / 347 >

この作品をシェア

pagetop