サッカー部のイケメン二人の間で揺れて
恭介に負担を掛けさせないために私は大学生になったらアルバイトをして、恭介に会いに行くお金を作ろうと思ってるの。
「恭介、私も実家には頻繁に帰るつもりにしているから恭介ばかりがここまで移動しなくても大丈夫だよ。地元でもデートしよう」
「はぁ?! 詩織、何言ってんの? ここじゃなきゃ色々とダメでしょ。そりゃ、たまには外でデートもいいけど。こうして誰の目も気にせずにイチャイチャできるのってここだけじゃんか」
そう言って恭介が私の膝の上に寝転んできた。
「もう、恭介。私たち新婚さんじゃないんだから。まだ二人きりでもこういうの、恥ずかしいよ」
「詩織ぃ。ずっとずっと、詩織はそのままでいてね。俺、すぐに追いつくから。先に大人にならないでね」
「恭介と一緒に大人になるよ、私。 恭介こそ私のこと追い抜かさないでよ」
恭介が私の膝に乗せていた頭を急に起こして、
「じゃ、今から一緒に大人になろう!」
そう言って私にキスをする。
そのまま床に押し倒されて、今までにされたことのない息が苦しくなるようなキスを何度も何度もする恭介。
「きょっ、恭介。苦しい。も、だめだって」
私の言葉を聞いた恭介がやっと唇を離してくれた。
「詩織、俺じゃイヤ? 俺、詩織が欲しい」
「イヤじゃ、ないよ。私、初めては全部恭介がいい」
「じゃあ、買い物は後回しね。今夜は二人でここに泊ろう」
「泊まるって。恭介は明日練習じゃないの?」
「明日も練習は休みだよ。もう春休みだし、先生たちも新入生の受け入れ準備とかで忙しいんじゃね?」
「そう。ならいいんだけど」
「いいんだね? 今、そう言ったよね詩織」
恭介が私の言葉をわざと違う意味でとらえて、いたずらに笑いながら聞いてくる。
「ばか・・・」
この春高校三年生になる恭介はまだ幼さも残っているけど、それでも大人で。
出会った時から半年、色々な恭介を知っていくたびに好きが大きくなっていくの。
私、恭介となら何も怖くない。
「恭介、これからも私のことよろしくね」
その夜、私と恭介は一つ大人になった。