サッカー部のイケメン二人の間で揺れて
「な、メモっ子ってさ、駅前のアパートに住んでるだろ。男と内見に来てたよな?」
えっ? どうしてそんなことをこの変な人は知っているの?
怖い、怖い、怖い。
私はそーっと後ろに下がり、このサークルのブースから無言で離れようとした。
「ちょっと待って! 本当に物覚え悪い子だな。俺、あの時アパートを案内したんだけど。名刺も渡したよね」
「ん? 私、大学生に案内なんてしてもらってない。あれは不動産会社の・・・って! そうだ、思い出した! 妙にため口の不動産屋さんだなって思ったんだ。あれ、あなただったの?」
「俺、あの不動産屋でバイトしてるんだ。決して怪しくはない」
思い出した。私と恭介でアパート見学をした時に、
『若いのに同棲するの? いいねー、羨ましいよ。親元離れて好きなことし放題だな。彼氏が羨ましいよ、なぁ』
そう言われて、妙に恭介がその不動産屋さんのことを気に入ったんだ。