サッカー部のイケメン二人の間で揺れて
この変な人の口からそんな活動内容を聞くとは思ってもいなくて、即刻断ろうと思っていたのに、何も言えなくなってしまった。
「自己紹介するよ。君にするのはこれで二回目だけど。俺は1年の吉野大地(だいち)。去年アフリカまで行ってて単位取れなくてさ。二回目の1年生になったって訳。あ、ダブリとか言うなよ」
「そっ、そうだったんですね。凄い、アフリカに行ってたなんて。それもこのサークルの活動で行ってたんですか?」
「ねぇ、君面白いな。急に俺に敬語使ってるよ。俺のこと尊敬してくれちゃったのか。可愛いヤツだな」
いやいや、尊敬とかチラっと思ったけどそれは撤回。
やっぱり変な人は変な人だ。
「君も自己紹介してくんない? ずっと君って呼ぶの疲れるんだけど」
「あっ、ごめんなさい。私は君島詩織です」
「詩織ね。了解。じゃ、ここに入部の紙があるから名前書いてよ」
「私、入るって言ってませんけど」
「もういいだろ。ここに入って一緒に活動しようぜ。詩織の彼氏も誘いなよ」
「彼はサッカーするので、サークルには入りませんよ」
そう恭介の説明をしたけど、これは来年の話っていうのは秘密。
「詩織はサッカーしないんだろ? だったらこのサークルで決まり。早くここに名前書く!」
「分かりましたよ。そんなに急かさないでください」
私はこの人の強引さに負けて、このサークルへ入部することになった。
吉野大地・・・一つ年上の変な人。
この人との出会いがこの先の私と恭介の運命を変えてしまうんだ。