サッカー部のイケメン二人の間で揺れて

恭介の成績は学年のトップだし、行ける大学だってたくさんある。

そんな恭介が将来何をしたいのか、聞いたことが無かったな。

「俺さ、サッカーは高校で終わりにしてもいいかなって最近思ってるんだ。大学で自分の見識を広めて、誰かの役に立つことがしたい」

「サッカー辞めちゃうの? 私、スポーツ栄養士を目指しているじゃない。私の将来には恭介がサッカーをしてて、食でそのサポートをしたいなって漠然と思ってた」

「そっか。でも俺はプロになりたいわけじゃないし、優斗先輩のようにサッカー上手くないしな」

優斗くん・・・。

恭介から優斗くんの名前が出てくるなんて思ってもいなかったからびっくりした。

「急に優斗先輩の話をしてごめん。なんか俺たちの中で優斗先輩の話題はタブーみたいになってたけど、もう話題にしても大丈夫だろ?」

「うん、優斗くんか。なんか久しぶりに思い出すよ。元気なのかな」

「詩織はJリーグの試合とか、テレビで観ないの?」

「全然観ないよ。だから全く知らないの。活躍しているの?」

「そうだね、やっと試合に出るようになってきたかな。知り合いがテレビに映ってるのがまだ不思議だよ」

「そうなんだね、活躍してて良かった」

「優斗先輩の試合、観に行ってみる?」

「ううん、行かないよ。Jリーグの試合より恭介たちの地区大会を応援しに行きたい。もうそろそろ始まるでしょ?」

「うん、応援に来てくれるの嬉しいよ。それよりも優斗先輩のことが全く興味ないみたいだから、そっちの方が嬉しい」

「恭介と付き合い出してから優斗くんのことは気にしたことないよ」

「はぁーーっ、マジ良かった。俺さ、優斗先輩の話題出したら詩織が遠い目をするんじゃないかって不安だった」

「ばか。変な心配しないで。私、こんなに恭介ばっかりなのに」

「そうだよな。試すようなこと言ってごめんな」

< 261 / 347 >

この作品をシェア

pagetop