サッカー部のイケメン二人の間で揺れて

「なぁ、それってさ・・・男?」

「ん? う、うん。男の人」

「詩織とそいつはどんな関係なの? ねぇ、なんで詩織のことサークルに誘ってんの、そいつ」

あっ、余計な事言っちゃったかな。

不安にさせないように別の話題を振ったのが裏目に出ちゃった。

「そんな感じの人じゃないの。本当に変な人でね。海外ボランティアのことしか考えていないような人なの。現地にボランティアに行って大学を留年するような人なの」

「ふーん。詩織はそいつと仲が良いんだ。いつも会ってるんだ。俺の知らないところでねぇ」

「その言い方! サークル仲間の一人だってば。仲の良い友達は皆女子だから。恭介は心配しないの」

「いいよ、そいつに会わせてよ。海外ボランティアの話を聞くよ。ついでに詩織に手を出すなって釘を刺しとかないとな」

「恭介、だからね。違うんだってば。もし恭介に内緒にしたい相手だったら紹介なんてしないでしょ」

「あやしいなぁ。詩織の浮気者め! こらっ!」

こらっ、って言いながら恭介が私をくすぐってくる。

本気で怪しんでいないことが分かるから、私も恭介にくすぐり返して、最後には二人で笑い合う。


恭介は優しいんだ。


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