サッカー部のイケメン二人の間で揺れて
「恭介くん、頑張ったね。キャプテンだもんね。優斗にも負けてないくらいかっこ良かったよ」
「んぁ? 那美ちゃん先輩、ここで優斗先輩の話題を出します?」
那美にそう言いながらケラケラ笑う恭介。
「なーんだ、二人の中ではもう優斗の影は全く無いんだ。優斗の話題を振っても笑い飛ばせるなんて、それだけ深い仲になったってことだね」
「当たり前ですよ、な、詩織」
「・・・。」
「詩織?」
何度も恭介に名前を呼ばれて、ハッと我に返る。
「う、うん。恭介かっこ良かったよ」
恭介と那美が目を合わせてポカンとしている。
「ご、ごめん。なんか違う世界に飛んでた。で、何の話?」
「もう詩織ったら。恭介くんが詩織とは深い仲だから何があっても絶対に大丈夫だって言ってたの」
「そうなの、恭介。何があっても大丈夫?」
私の脳内ではたとえ遠くの大学に行っても私と恭介は大丈夫って変換してて。
「ね、俺たち三人とも会話が噛み合って無くね? 一体何の話をそれぞれがしてんのさ」
「あははっ、そうだよね。相変わらず面白いね詩織と恭介くん。さて、と。私は二人にも会えたし、この辺で久々に実家に顔出してくるわ。たまには帰らないと怒られるしね」
「那美、もう行っちゃうの? まだいいじゃない」
今、那美に帰られてしまったら要らぬことを恭介に言ってしまいそうで怖いよ。
「詩織、大丈夫だから。考えを纏めてから話せばいいの。ね、頑張って! じゃーね恭介くん。受験頑張ってねー」
恭介に挨拶をすると那美はお店から出て行ってしまった。