サッカー部のイケメン二人の間で揺れて
俺はサッカーの練習を観に来て欲しくて、いつも詩織に来るように催促した。
俺の自慢できるものはサッカーしか、なかったから。
サッカーの練習の後は必ず詩織を家まで送った。
バスで帰るときもあれば、詩織の家まで歩いて帰るときもあった。
「優斗くん、疲れてるのに毎日送ってくれなくても大丈夫だよ」
そう詩織が断ってきても、必ず送った。
少しの時間だけでも一緒にいたいんだよ。
会話がなくても詩織となら気にならなかったし、側にいてくれるだけで俺は幸せだったんだ。
それでもたった一度だけ、詩織に聞いたことがある。
「なぁ、詩織。詩織はさ、俺の事どう思ってる?」
詩織は言葉を選びながら
「今ね、私の一番近くに居てくれてるのは優斗くんだよ。だから、好き、かな」
そう答えて。
好き、が疑問形になってるのが引っかかるけど、嬉しかった。