テスター
☆☆☆

翌日は良く晴れた日だった。


約束どおり迎えにきてくれた久典と2人で登校すると、教室に入った瞬間智恵理と栞の2人にちゃかされてしまった。


「朝からラブラブだねぇ」


「ほんと、羨ましい」


「そんなんじゃないってば」


2人に向けてそう言いながら自分の席に座る。


久典は当たり前みたいにあたしの近くにいて、会話に入っている。


「で? 昨日テスターは出たの?」


智恵理に着替えれてあたしは左右に首を振った。


「出ないよ。テスターなんて郁乃のでっち上げだよ」


たぶん、あたしたちを怖がらせるための。


「だけどそれを信じて千紗の送り迎えかぁ。久典君ってやっぱり優しいねぇ」


栞がうっとりとした視線を久典へ向けるので、あたしは慌てて2人の間に割って入った。


他の子が相手なら勝てる自信があるけれど、この2人がライバルになると本当に負けてしまうかもしれない。


「注意するに越したことはないだろ?」


ちゃかされた久典は少し頬を赤くして答えている。


「でもさ、郁乃っていつでも千紗に敵意むき出しだよね」


栞が小さな声で言った。


あたしはうなづく。


「そうなんだよね。久典がいるからだろうけど、ほっといてほしいよ……」


郁乃が久典狙いであることは一目瞭然だった。
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