テスター
通報~千紗サイド~
あたしは先生の話を聞いて愕然としていた。


そう言われれば、あたしも谷津先生をからかったことがあると思い出したのだ。


『先生はブスだから教卓に立たないでくださ~い!』


自分が先生に投げかけた言葉を思い出し、胸がギュッと痛くなった。


確か、あの日はいつも以上に谷津先生へとイジリが多い日だった。


みんな谷津先生にならなにを言ってもいいと思っていた。


先生が傷ついていることなんて、誰も想像できなかった。


「ごめんなさい……」


あたしは谷津先生を見下ろして、消え入りそうな声で言った。


谷津先生は口元に笑みを浮かべてあたしを見ている。


「いいのよ。だって私はもう美しくなったから。それに比べて今のあなたの顔、とっても醜いわよ?」


谷津先生はそう言って声を上げて笑い出した。
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