テスター
☆☆☆

あたしが学校に戻って一ヶ月が経過していた。


まぶたの引きつれを直す手術は成功し、随分マシに見える。


今は人工的な睫毛をつけているけれど、それもいずれ本物に変わっていくと思う。


それでも、朝自分の顔を鏡に映すと落胆してしまう自分がいる。


いくら手術に成功したと言っても、元通りの顔にはならない。


目は少し小さくなり、垂れてしまっていた。


「大丈夫よ千紗。十分に可愛いから」


気にしてジッと鏡を見ていると、脱衣所に入ってきた母親にそう声をかけられた。


そしてそのまま後ろから抱きしめられる。


背中に感じる暖かさに心が落ち着いていくのを感じる。


「うん。ありがとう」


こうして優しく励まされると前向きになれる気がする。


母親だけじゃなく、父親も久典もあたしのことを支えてくれている。


だから学校に復帰することもできたんだ。


今日もきっと大丈夫。


そう思って教室に入ったとき、教室内の雰囲気がいつもと違うことに気がついた。
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