テスター
「今日は諦めるしかないね」


「もう、ほんと最悪」


あたしの言葉に栞は大げさなため息を吐き出したのだった。


それから、数学のテストが戻ってきたのは昼休憩中のことだった。


「平均点は54点だったから、それ以下の人は放課後残っているように」


数学の先生は平均点をデカデカと黒板に書き、それぞれにテストを返したら満足そうに教室を出て行った。


あたしは自分の解答用紙に書かれた点数を見つめて盛大なため息を吐き出す。


結果は30点だ。


小テストといえど、過去最悪の点数をはじき出すなんて思ってもなかった……。


さすがに落ち込んでいると、後ろに人の気配を感じて振り向いた。


そこに立っていたのは郁乃だ。


郁乃は98点と書かれたテスト用紙を見せびらかすように持っていて、「あ~あ、一問街がえっちゃったぁ」と、大きな声で言う。
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