テスター
本当にただ遊んでいるだけだろうか?


両親に心配までかけて、あの3人が?


勉強はできないかもしれないけれど、そんな不謹慎なことをするとは思えなかった。


特に千紗は両親のことを大好きだと言っていた。


他の2人だって、熱心にアルバイトをしていたりするから人の迷惑になることを率先してやるとは思えなかった。


ホームルームが終わったとき、先生が真っ直ぐ俺の席へと歩いてきた。


「守屋少しいいか?」


「はい」


先生について廊下へ出ると、千紗のことについて質問をされた。


「なにか知っていることはないか?」


その質問に俺は左右に首を振った。


「俺も昨日から探したり、連絡をとてみたりしてるんですけど、全然ダメで……」


「そうか。先生も探してみるから、なにかわかったらすぐに教えてくれよ?」


「はい」


もちろんそのつもりだった。


教室へ戻ると、心配そうな顔をした郁乃が駆け寄ってきた。


「千紗がいなくなったのって、本当なの?」


「あぁ」


先生がそんな嘘をつくわけないだろ。


そう言いたかったけれど、黙っていた。
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