テスター
恐怖心から意識が飛んでしまいそうになる。


でも、ここで気絶したら本当にどうなるかわからないのだ。


あたしは下唇をかみ締めて必死に意識を保っていた。


振り向いたテスターはまたつぎはぎが増えた顔をしていた。


栞が言っていたとおりとても汚い顔だ。


だけどあたしは笑いかけた。


「素敵な顔だね」


そう言って。


その言葉にテスターは嬉しそうな笑い声を上げる。


それからあたしと、2人の死体へと視線を向けた。


これからどうするつもりなんだろう。


次は間違いなくあたしの番だけど、一体どこを切り取るつもりだろう……。


全身の血液が凍りついたそのときだった。


テスターは体の向きを変えて、智恵理の拘束を解き始めたのだ。


支えをなくした智恵理の体はそのまま床に落下する。


続いて栞の拘束を解いたテスターは倉庫のドアを開けた。
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