テスター
「夢……」


呟き、千紗の手を握り締めた右手を見つめる。


あの冷たさが今でも残っている気がした。


「今、千紗は泣いているのか?」


夢のせいでひどい胸騒ぎがした。


早く千紗を見つけ出さないと大変なことになるんじゃないか。


そんな恐怖心が湧き上がってくる。


俺はサイドテーブルに置いているスマホを確認した。


相変わらず千紗からの連絡は来ていない。


小さく舌打ちをしてベッドから起きて着替えを済ませる。


時刻はまだ朝の6時だったが、関係ない。


俺は制服姿で家を飛び出したのだった。
< 70 / 150 >

この作品をシェア

pagetop